中期経営計画で掲げるサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の1つである「医療への貢献にやりがいと誇りを持てる組織風土の醸成」を実現するため、社員エンゲージメントの向上に取り組んでいます。2021年度から実施している「従業員満足度調査」の結果から、「労働環境」と「キャリア支援」の充実が課題となっています。
労働環境を改善するため、業務効率の改善や柔軟な働き方により、長時間労働に依存することなく最大限の成果を上げるとともに、ワーク・ライフ・バランスを実現することを目指して「働き方改革」に取り組んでいます。
取り組みの1つとして、「フレックスタイム制度」や「テレワーク制度」など諸制度を整備し、柔軟な働き方を促進しています。2023年度の有給休暇取得率は51.6%(1人当たりの取得日数は10.6日)でした。法定の有給休暇以外にも日本光電独自の有給休暇(積立休暇、特別休暇)を充実させており、2023年度の社員1人当たりの取得日数は2.7日でした。
また、各部門の生産性向上やワーク・ライフ・バランスにつながる取り組み事例を募集する「グッジョブアワード」を、2019年度から毎年開催し、会社全体の生産性向上につなげています。2023年度も多くの応募があり、開発ドキュメントの自動生成や電子認証システムの導入などの取り組みが特に高い評価を得ました。さらに、「社員一人ひとりがやりがいを持って活き活きと仕事をすること」を目的として個人表彰部門を新設しました。生産性向上の取り組みの内容に加え、取り組む姿勢や、取り組む中で感じたやりがいや面白味も共有することで、全社の意識向上に役立てています。

グッジョブアワード・コアバリューアワード※の合同表彰式
※ 業務上でのグローバル共通価値基準の体現エピソードを募集し表彰する取り組み。
「従業員満足度」の向上や「グローバルに活躍できる人財の育成」に向けて、2023年度から、「従業員満足度」の向上施策として「NKキャリアサポート」の制度を構築しました。2023年11月には、その支援策の1つである「キャリアについて学ぶ機会の提供」に向けたeラーニングコースを公開し、2,000名以上の社員が学習を完了しました。
また、社員のキャリア支援策の整理と今後の計画を策定しました。社員のキャリアパスを整理し、自らキャリアプランを作成できるよう、社内の職種を整理した「NKお仕事図鑑」を公開しました。
今後も、社員自らのキャリア形成につながるような研修や仕組みを構築し、社員が自らのキャリアについて考えるキャリア自律を支援し、社員一人ひとりがやりがいを持って業務に従事し、活き活きと働ける職場環境づくりを目指します。
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- NKお仕事図鑑のイメージ

日本光電では、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の1つである「医療への貢献にやりがいと誇りを持てる組織風土の醸成」に向けて、「従業員満足度」をKPIに設定しています。2023年度は、2021年度、2022年度に引き続き、国内の日本光電グループ全社員約4,400名を対象に調査を実施しました。全46項目を8つのカテゴリに分け、肯定的な回答者の割合を算出しています。2022年度の結果を受け、全社的な施策および各部門での施策を実施していますが、まだ結果としては現れておらず、2023年度は8つすべてのカテゴリで2022年度とほぼ同水準となりました。特に「ビジョン・バリューへの共感」「対人関係/連帯感」が引き続き高い満足度であることを確認できました。一方、「キャリア支援」「労働環境」に関しては、相対的に低めであることを確認しました。調査結果や社員からの意見を経営層やマネジメント層に共有し、引き続き、全社的施策および各部門での施策を実施していきます。
2022年度にアフターコロナの新たな働き方を見据えて、「フレックスタイム制度」「テレワーク制度」など諸制度について拡充を図り、柔軟な働き方を促進しました。育児休業開始後1ヵ月間、会社が一部賃金を補助する制度も新設し、男性を含む育児休業取得推進に取り組んでいます。また、新人事制度導入を踏まえて各種手当等の見直しを進めています。
制度・取り組み |
内容 |
育児休職制度 |
子どもが2歳になるまで休職できる制度。 |
介護休職制度 |
介護を必要とする親族を持つ場合に、最長2年間休職できる制度。 |
短時間勤務制度 |
1日の勤務時間を最長2時間(2021年度から。従来は最長1時間)短縮できる制度。2021年度からフレックスタイム制度も適用可能。小学6年生までの子を有する社員など、一定の基準を満たす場合に利用可能。 |
シフト時間勤務制度 |
1日の勤務時間を変更せず勤務時間帯を最大1時間シフトすることができる制度。小学6年生までの子どもを持つ社員など、一定の基準を満たす場合に利用可能。 |
テレワーク勤務制度 |
事由を限定した従前の在宅勤務制度を廃止し、事由によらず自宅または自宅に準じる場所で勤務可能とする制度。対象は全社員。 |
子の看護のための休暇制度 |
小学6年生までの子どもの看護が必要な場合、年5日(2人以上は10日)の特別休暇を取得できる制度。 |
フレックスタイム制度 |
社員自らが日々の労働就業時間を決めることができる制度。業務上の必要性により、コアタイム適用の除外が可能。 |
副業制度 |
就業時間外での副業を認める制度。一定の基準を満たす場合に利用可能。 |
積立休暇制度 |
時効で失効した年次有給休暇を別に積み立て、本人や家族の傷病以外に、子どもの学校閉鎖・臨時休校時に看護が必要な場合に取得できる制度(一定の基準を満たす場合に利用可能)。 |
リフレッシュデー |
就業時間を短くする日を意識的に設けることで、就業前後の時間を有効活用しリフレッシュすることを目的とした取り組み。 |
カジュアルデー曜日指定の廃止 |
従前の曜日指定(水、金曜日)を廃止し、曜日によらずTPOをわきまえた服装で勤務可能とする取り組み。 |
育児休業期間中の賃金補助 |
雇用保険からの育児休業給付金に加え、育児休業取得開始後1ヵ月間、会社が一部賃金を補助する制度。 |
実績については、こちらをご覧ください。
日本光電では、病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦することで世界に貢献し、広く社会から信頼される倫理企業であり続けるため、「倫理企業宣言」において、すべての人の人権を尊重し、個人の人格、尊厳を侵害するような行為をせず、不当な差別を行わないことを宣言しています。併せて、「日本光電倫理行動規定」「日本光電グループ人権方針」「従業員就業規則」においてハラスメントの禁止を明記することで、ハラスメントの防止に努めています。
ハラスメントの防止と発生時の早期解決に向けて、「社内ハラスメント相談窓口」を設置しているほか、誰でも気軽に相談できるよう「社外ハラスメント相談窓口」も設置し、寄せられた相談に適切に対応しています。相談時には、相談者や行為者等のプライバシーを厳守し、相談内容、事実関係の確認への協力等を理由とした不利益な取り扱いは一切しないことを周知し、安心して相談できるように努めています。2023年度は、16件のハラスメント相談と11件の苦情相談がありました。
また、2020年6月にパワハラ防止法が施行されたことを受けて、法律の改正内容とハラスメントを正しく理解するためのeラーニングを、一般社員向け、管理職向けに定期的に実施しており、2023年度もeラーニングを継続実施し、4,188名(受講率100%)が受講しました。新任の管理職に対しても、ハラスメント研修を実施し、働きやすい職場環境の構築のため、ハラスメントの正しい理解と未然防止に努めています。
日本光電では、労働基準法および労働安全衛生法を遵守し、災害予防と衛生環境の整備を推進することを目的として安全衛生委員会を設置しています。毎月の会合で、各部門から提出された安全衛生に関する議案の審議や、その改善活動などを行っています。また、安全衛生委員会とは別に、感染症予防活動を円滑に行うことを目的とした感染症予防委員会を設置し、社員の感染予防に関する教育のほか、感染予防に関する調査、審議や注意喚起を行っています。社員が使用する社用車は、衝突回避支援システム、車線逸脱警報システム、ハイビーム自動切換えシステム、ドライブレコーダを標準装備し、必要に応じてスタッドレスタイヤも準備しています。さらに、寒さの厳しい地域に勤務する社員に対しては、寒冷地仕様車を手配することで、交通事故削減を推進しています。また、道路交通法の施行規則改定による、2023年12月からのアルコール検知器を使用した運転前後のアルコールチェックの義務化に対しても、国内の全事業所で車両管理システムを導入して、運転免許証の確認、運転日誌、運転前後のアルコールチェックを適切に運用しています。
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
休業労働災害件数(件) |
5 |
3 |
1 |
度数率※1 |
0.57 |
0.14 |
0.15 |
強度率※2 |
0.00 |
0.00 |
0.00 |
労災による死亡者数 |
0 |
0 |
0 |
※1 100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数をもって、災害発生の頻度を表したもの
※2 1,000延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数をもって、災害の重さの程度を表したもの
日本光電は、「日本光電グループ人権方針」「日本光電サステナブル調達基準」において、児童労働・強制労働を行わないことを掲げています。
日本光電グループにおいては、2021年から定期的なモニタリング調査を開始し、児童労働、強制労働がないことを確認しています。
日本光電は、経営理念において、病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦することにより世界に貢献すると共に社員の豊かな生活を創造することを掲げています。事業活動を行うすべての国において、労働法令を遵守するとともに最低賃金額以上の賃金を支払っています。
日本光電では、社員が自社株を取得するにあたり、会社が積立金の給与天引きや奨励金の支給、株式の共同購入などの便宜を図ることにより、社員の長期的な資産形成を奨励する制度を設けています。
日本光電では、社員相互の理解と親睦を深めるため、趣味やスポーツ等のクラブ活動を奨励しており、活動にあたっては補助金が支給されます。2024年4月現在、25のクラブが精力的に活動しています。
日本光電では、社員の家族に職場に対する理解を深めてもらうとともに、家族とのコミュニケーションを一層深めるきっかけとしてもらうため、社員の家族向けに各種イベントを開催しています。
2018年7月には、社員の家族向けに総合技術開発センタの職場見学会・星空観賞会を開催し、EMC試験場の見学、職場見学、AED講習会、バイタル(心電図、SpO2(動脈血酸素飽和度)、血圧)計測体験などを行いました。
2023年度から開催しているAED講習会「子ども参加デー」では、心肺蘇生とAEDの使用方法を学ぶ機会を提供しています。2023年度は11名、2024年度は31名の小中学生の参加がありました。保護者からは「子どもがAEDを知る良いきっかけになった」「学校の夏休みの自由研究に役立てたい」「親子でコミュニケーションを取れる良い機会になった」等の感想がありました。2024年度の講習会では、一般市民によるAED使用が可能になってから20周年を記念し「AEDのあゆみ」コーナーを設置しました。歴代のAEDを展示し、最新のVR動画による「救命の手順」を体験していただくなど、AEDの歴史を感じていただける機会となりました。
2024年8月には、日本光電富岡(株)で親子見学ツアーを開催し、125名の方に参加いただきました。職場・工場見学に加え、バイタル計測体験や救急車の見学、AEDの使用方法の体験、日本光電のAEDキャラクター「かえでちゃん」との記念撮影などを行いました。参加者からは、「実際のモニタに触れて自分の脈を波形で見ることができ、非常に興味深かった」「救急隊員の方から救急車の設備や製品の説明を受けることができて嬉しかった」「自身の仕事を子供に知ってもらえたことが嬉しかった」といった感想が寄せられ、社員の家族に業務内容の理解を深めてもらう良い機会になりました。
日本光電グループは今後も、社員の働きがい向上を目指し、様々な活動を推進していきます。