
代表取締役 社長執行役員
Chief Executive Officer
サステナビリティ推進委員会 委員長
荻野 博一
日本光電は1951年の創立以来、経営理念「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦することにより世界に貢献すると共に社員の豊かな生活を創造する」の実現を目指し、革新的で高品質な医療機器を数多く世界に送り出してきました。創立時のメンバーはわずか12名でしたが、現在では従業員が6,100名を超え、世界中でヘルスケアの課題への挑戦を続けています。日本光電がこれまで開発した製品は、世界120カ国以上に輸出され、世界各国の医療現場で使用され、多くの患者さんを救ってきました。
日本光電は、一人でも多くの患者さんを救うために、技術革新とより高品質な製品を生み出すことに挑戦し続けています。医療機器メーカとして、臨床的な価値や、患者さんにとっての価値を提供することが日本光電の使命です。「医療現場に根差した技術開発力」「国内外の幅広い顧客基盤」「高品質の製品・サービスとそれを支える開発・生産・販売・サービス体制」「長年にわたって培われたブランド力」など、日本光電には社会に対する価値創造を可能にする強みがあります。
サステナビリティ経営の実践フェーズとなる「BEACON 2030 Phase II」では、事業活動の本質としてサステナビリティを推進し、医療課題、環境課題、社会課題の解決に取り組んでいます。
医療課題の解決に向けては、インドネシアにおける新生児の死亡率および重篤な後遺症を低減するため、現地医師に対する新生児蘇生教育に協力しています。当社が開発した新生児蘇生モニタの普及を通じ、適切な新生児蘇生法をサポートします。
環境課題の解決に向けては、2024年3月に、当社独自の「Green Product Label(グリーンプロダクトラベル)」認定制度を開始しました。当社の製品・サービスについて、環境負荷低減への貢献度別に4段階の評価ランクに分けて認定しています。また、TCFD※1提言に基づく情報開示では、事業インパクトを評価、開示しました。これらの取り組みの結果、環境非営利団体であるCDPから「水セキュリティ」の分野で「A-」の評価を初めて獲得しました。2025年度はSBT※2の認定取得に向け、国内外のScope3のデータ取得を進めます。
社会課題の解決に向けては、グループガバナンスを一層強化するため、取締役会の多様性や国際性の確保、監督機能のさらなる高度化に取り組んでいます。2024年4月にCxO体制を導入したほか、6月に女性取締役2名と外国人取締役1名を選任し、独立社外取締役の比率は50%となりました。また、役員報酬制度を見直し、業績連動株式報酬を導入しました。評価項目に連結営業利益率に加え、連結ROEおよび相対TSR※3を組み入れました。
中期経営計画の達成に向け、重要経営課題に部門横断的に取り組むため、2025年4月に、CEOを補佐する役割としてCOO、CSO、CAO※4を設けました。オペレーショナルエクセレンスの実践、グローバル事業戦略の推進、経営管理基盤の構築等を担います。また、アドテック(株)とのシナジー創出のため、脳神経事業統括部を新設しました。さらに、中長期的な業績・企業価値の向上に対する従業員の貢献意欲や士気の向上を目的として、従業員向け株式給付信託制度を導入しています。2025年度は中期経営計画の達成に向けた試金石となる重要な一年です。株主の皆様としっかりと目線を合わせ、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上に取り組みます。
※1 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):気候関連財務情報開示タスクフォース。
※2 SBT(Science Based Targets):パリ協定が求める水準と整合した、5~10年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標。
※3 相対TSR:( 対象事業年度末日の当社株主総利回り)÷(当社株主総利回り計算期間に相当する期間の同業他社の株主総利回りの平均)。
※4 CEO:Chief Executive Officer、COO:Chief Operating Officer、CSO:Chief Strategy Officer、CAO:Chief Administrative Officer。