PEOPLE 02 - 技術

効果的に
アラームを鳴らす
新たなアルゴリズムを
開発する。
M.M.

日本光電工業株式会社
生体モニタ事業本部

2011年入社 新領域創成科学研究科
情報生命科学専攻 修了

松島 稔
博士課程まで進み、情報生命科学を専攻。研究者よりも社会への貢献実感を得られる仕事を求め、民間企業を志望する。
研究内容との親和性と、社会貢献の観点から日本光電への入社を決意。
エンジニアとして、ソフトウェアやアルゴリズムの開発を担当し、現在はリサーチャーとして研究案件に幅広く携わる。

CHAPTER 01

医療に
貢献すべき機能が、
足を引っ張る
という事態。

様々な情報を測定している生体情報モニタ。その真価は、測定した情報をいかに活用するかにある。その一つがアラーム機能。異常値を検出した際、アラームを鳴らすことで迅速な処置を可能にする大切な機能だ。実はこのアラーム機能、場合によっては医療現場の負荷を却って増大させることにもつながりかねない。

頻繁にアラームが鳴り響く病院を想像してみてほしい。入院患者は不安になり、医療スタッフは対応に追われ、疲弊する。疲労は、提供する医療サービスの水準を下げかねない。また、本当に重要なアラームが埋れてしまうこともあり得る。本来、医療に貢献すべき機能が、医療の足を引っ張る。そんな、あってはならないことを防ぐのが、私の役目だ。

CHAPTER 01

CHAPTER 02

正解がなく、
検証作業すら
ままならない難問。

4年目の春、ボストンにあるイノベーションセンタへの異動が決まった。そこで与えられたミッションが、アラームに関する医療データ解析だった。鳴りすぎるのであれば、鳴らす基準を上げればいいのではないか。ところが、そんな簡単な話ではない。それでは処置の対象となるような異常値も見落とされてしまう。

基準値をどの程度越えたら危険なのか、どのくらいの時間を超えているとリスクが高いのか。様々な条件を検討した。特に難儀したのは、検証が難しいという点だ。正解の基準値というものが明確にあるわけではない。病院に足繁く通い、医師の方の意見を何度も仰ぎながら、手探りで解析を進めた。

CHAPTER 02

CHAPTER 03

これは日本光電の理念を
体現する仕事。

正解がない仕事。不慣れな海外という環境。膨大な時系列データをひたすら解析し続ける毎日。決して楽な仕事ではなかった。それでも、研究への熱は少しも冷めることがなかった。医師の方にもらった「一緒に医療を変えよう」という言葉が、この研究は医療現場に求められていると確信させてくれたからだ。

まだ、製品への実装はされていない。だが、これらのアルゴリズムが世に出たとき、医療現場のスタッフにかかる負担は確実に減るはずだ。そしてそれは、本当に必要な患者へ医療を届けることの助けとなる。先端技術で医療に貢献し続ける。そんな、日本光電の理念を体現する仕事だという誇りと責任を胸に、私は今日も研究を続ける。

CHAPTER 03
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