2004年7月に、日本で医療従事者ではない一般市民でもAED(Automated External Defibrillator;自動体外式除細動器)を使用できるようになり、公共施設を中心にAEDの設置が進んでいます。
心停止の可能性のある方を発見された場合は、1分1秒でも早い心肺蘇生の実施とAEDを用いた電気ショックが大切な命を救うことへと繋がります。日本光電では、一人でも多くの方がいざという時にAEDを使用できるように、心肺蘇生とAEDの講習会を実施しています。
2023年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、対面での講習会だけでなく、オンラインでも講習会を行いました。
- 国内のAED講習の2023年度実績
講習会585回
(対面講習479回、オンライン講習106回)
受講者数5,772人
(対面講習4,905人 オンライン講習867人)

2004年から、国内約100ヶ所の全事業所にAEDを設置しています。また、社員全員が心肺蘇生+AED講習会を受講しており、社員だけでなく、近隣住民の皆様の安全・安心に努めています。

2020年9月、株式会社バンダイが開発したカプセルトイ『ガシャポン ミニチュアAED』の監修に携わりました。
実際にAEDの中身を見たことがない、触ったことがないという方に対して、AEDをより身近に感じ、使い方を簡易に学べるようにするといった教育的観点からカプセルトイの監修に至りました。本製品は子どもから大人まで幅広い世代の方が、普段使う機会の少ないAEDの中身を触って、使い方を体験できる仕様となっています。カプセルトイの取扱説明書では、実際のAEDの使用方法も紹介しています。

2021年7月に、日本光電の静岡事業所に勤務する社員3名が、当社製のAEDを使用して人命救助を行い、消防署から感謝状が贈られました。
3名は、「落ち着いて行動すれば蘇生するはずと信じていた」「国内で唯一のAEDメーカの社員として、人命救助のお手伝いができた」「目の前でAEDを使用し、AEDの凄さを改めて実感した。当社のAEDで救命に成功できてよかった」と話しています。
今回、AEDを設置している事業所前で倒れられたことから、AEDへのアクセスが良かったこと、3名が迅速に対応したことが救命につながりました。
日本光電では、迅速な救命活動が行えるよう、全社員が心肺蘇生とAEDの講習会を受講しています。また、国内約100ヵ所の全事業所にAEDを設置し、近隣住民の皆様への安全・安心の提供に努めています。今後も、命に関わる医療機器を扱うメーカとして、心肺蘇生とAEDの普及を推進し、救命率の向上を目指します。

静岡市消防局千代田消防署長からの表彰
富岡生産センタ、富岡第二工場は、ドクターヘリや防災ヘリのランデブーポイント(場外離着陸場)に指定されています。消防本部や病院と連携し、地域の救急医療に貢献しています。

医療教育の充実を目的として、臨床工学技士養成所に整備済み医療機器の寄贈を行っています。様々な医療機器に触れる機会を提供することで、教育現場および臨床工学技士を目指す学生をサポートしています。
- 拡大
- 日本メディカル福祉専門学校
- 拡大
- 学校法人・専門学校首都医校
年度 |
寄贈先 |
寄贈品 |
台数 |
2014年度 |
8校 |
生体情報モニタ、除細動器、心電計 |
計8台 |
2015年度 |
16校 |
生体情報モニタ、脳波計、除細動器、心電計、血球計数機 |
計16台 |
2017年度 |
6校 |
脳波計、除細動器、心電計 |
計6台 |
2018年度 |
1校 |
人工呼吸器 |
計9台 |
2020年度 |
1校 |
人工呼吸器用コンプレッサー |
計1台 |
2021年度 |
1校 |
人工呼吸器 |
計1台 |
日本光電が提案した「AED普及促進事業」が、JICA(独立行政法人国際協力機構)が公募した、2015年度第2回「開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」に採択されました。心臓突然死の原因の一つである心室細動は、除細動器による電気ショックが唯一の治療方法です。本事業は、メキシコで増加傾向にある急性心筋梗塞による心臓突然死を防ぐため、蘇生率の改善に有効な手段であるAEDを用いたBLS~{※}を広く普及させるものです。
2018年6月には、メキシコ国立自治大学のスタッフに対して、BLSトレーナー養成講習を行いました。今後は本講習を受講した現地人トレーナーが、メキシコ国内でBLS講習を実施することで、メキシコでのAEDを用いたBLSの普及と、それによる心臓突然死の減少が期待されます。
- BLS(Basic Life Support):一次救命処置。呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人に対して、その場に居合わせた人が、BLSトレーナー養成講習会の様子 救急隊や医師に引継ぐまでの間に行う応急手当のこと。
新興国において日本と同等の周術期医療~{※1}を普及させることは、患者さんの治癒率向上に大きな効果をもたらします。日本光電が開発した技術の普及による医療の質の向上を目的とする「周術期医療における非侵襲的モニタの普及促進調査事業」が厚生労働省の「平成28年度医療国際展開等推進事業」に3年間の継続事業として採択されました。
ベトナムは日本を上回る速さで高齢化が進み、急性心筋梗塞や脳内出血などの患者数が増加していることから非侵襲的モニタ(esCCO~{※2})の必要性や関心が高く、2019年に現地で開催した日本の医師による麻酔科学会の特別講演には、麻酔科医師・技師合わせて約1,200名にご参加いただきました。
これからも継続的に普及活動に取り組み、ベトナムにおける質の高い安全な周術期管理の実現を目指します。
- 周術期医療: 手術を受ける患者さんの術中だけでなく手術前後を含めた一連の期間における医療。
- esCCO: estimated Continuous Cardiac Output
心電図とパルスオキシメータから得られる脈波を用いて、非侵襲で連続的に心拍出量を算出する技術。