人権の尊重に関する基本的な考え方

日本光電グループ(以下「日本光電」)は「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦することにより世界に貢献すると共に社員の豊かな生活を創造する」という経営理念のもと、事業を通じて世界に貢献することを目指しています。
また、会社および役員・社員等が遵守する行動の基準として定めた「日本光電行動憲章」の中で「人権の尊重」を掲げるとともに、具体的な行動のあり方を「日本光電倫理行動規定」で示しています。
2015年7月には国連グローバル・コンパクトに署名し、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野10原則に則った企業活動を行うことで、社会から信頼され、持続可能な社会づくりに貢献する企業であり続けることを目指しています。
近年、企業活動のグローバル化が進み、企業の人権への取り組みに対して、社会からの関心が高まっています。日本光電にとっても、ステークホルダーの人権を尊重していくことは極めて重要だと考え、2020年12月に「日本光電グループ人権方針」を制定しました。方針に従い、人権尊重の取り組みを推進することで、持続可能な社会の実現に貢献します。

 

日本光電グループ人権方針

 

  1. 日本光電は、「国際人権章典」および国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関する宣言」などの人権に関わる国際規範を尊重するとともに、国連グローバル・コンパクトの署名企業としてその10原則を支持します。
  2. 日本光電は、事業活動のあらゆる場面において、すべての人の人権を尊重し、個人の人格、尊厳を侵害するような行為をせず、不当な差別やハラスメントを行いません。
  3. 日本光電は、安全で働きやすい環境の提供、最低賃金の確保、適正な労働時間管理を含む責任ある労働慣行、結社の自由と団体交渉権の尊重を約束します。
  4. 日本光電は、人身取引を含む奴隷労働や強制労働、児童労働を行いません。
  5. 本方針は、日本光電グループのすべての役員と社員に適用します。また、サプライチェーンを含む全てのビジネスパートナーに対しても、人権の尊重を働きかけていきます。

子どもの権利に関する考え方

子どもは社会的に弱い立場にあり権利が侵害されやすいことから、特に保護や配慮が必要であり、大人と同様の権利を認め、将来の可能性を広げ健康的に成長していけるよう、社会全体での支援が重要です。
日本光電は、子どもの人権に関する国際連合やILOの諸条約~{※}に賛同し、児童労働を認めないなど、子どもの権利を尊重しています。「日本光電グループ人権方針」には、子どもを含むすべての人の人権の尊重に関する基本的な考え方を定めています。また、「日本光電サステナブル調達基準」において、児童労働を行わないことを掲げ、お取引先様を含めたバリューチェーン全体で最低就業年齢に満たない児童労働の防止に取り組んでいます。
日本光電は、「子どもの権利とビジネス原則」を支持するとともに、事業活動においても子どもの権利の保護に寄与する製品・サービスの提供、安全性の確保に取り組んでいます。「児童の権利に関する条約」における「生きる権利」を守るため、低出生体重児のデリケートな肌へのやさしさを考慮した電極やセンサを開発、供給し、子どもたちの健康や成長をサポートしています。
今後も、病魔と闘う子どもたちの不安を軽減する親しみやすいデザインの電極の開発や、新生児蘇生モニタの普及による新生児の死亡率および重篤な後遺症の低減を目指すなど、子どもの権利を守るための取り組みを継続します。

  • 「国連グローバル・コンパクト」「児童の権利に関する条約」「子どもの権利とビジネス原則」「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約(ILO条約第182号)」等

ディスポ電極 Nビトロード
ディスポオキシプローブ TL-273T

ブレスキュー
NRM-1300

その他の子ども向け製品については、こちらをご覧ください。

人権デューデリジェンス

日本光電では、人権デューデリジェンスの仕組みを構築し、 人権に対する負の影響を特定し、その防止および軽減を図っています。
2021年度は、サステナビリティ経営推進強化の一環として、国内外の日本光電グループ各社とお取引先様に環境、人権、品質、ガバナンスに関するアンケートを実施したほか、人権に関する取り組み状況の把握と課題の整理、 3ヵ年ロードマップの策定を行いました。
2022年度はアンケート結果をもとに、経営への影響を考慮し人権リスク評価を行い、重要な人権課題を特定しました。
人権を取り巻く状況は常に変化していることから、最新の情報や人権基準の捕捉に継続して努めるとともに、必要に応じて手順や優先する人権課題について定期的に見直しを実施します。 

人権デューデリジェンスの全体像

人権影響評価、人権リスク評価

日本光電では、サステナビリティへの取り組みを推進するにあたり、お客様、株主・投資家の皆様、お取引先様、地域社会、従業員など、すべてのステークホルダーの皆様との関わりがあります。そのため、人権リスクも人種や性別による差別やハラスメント、過重労働、児童労働、個人情報の漏洩、環境汚染など、多種多様な課題が想定されます。
影響度評価を行う人権課題については、「国連グローバル・コンパクト」や「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、経済人コー円卓会議日本委員会による「ステークホルダー・エンゲージメントプログラム」や日本経済団体連合会が策定した「人権を尊重する経営のためのハンドブック」などをもとに、約30項目を抽出しました。
2022年度の分析では、過去のアンケート調査結果に基づき、ステークホルダー別に「深刻度~{※1}」と「発生可能性~{※2}」の2軸で評価しました。

※1 深刻度:人権リスクが起きた際の影響の範囲や、発生後の修復にかかる時間や費用を評価。
※2 発生可能性:人権リスクが発生する可能性を評価。

人権リスクの特定

抽出した約30項目の人権課題の影響度を評価した結果、当社グループの重要人権課題を「過剰・不当な労働時間」、「セクハラ、パワハラ、妊娠・育児・介護などに関するハラスメント」に特定しました。重要人権課題については、定期的に再評価し、負の影響の防止・軽減を図ります。
重要人権課題に特定されなかった項目についても、継続的にモニタリングする必要がある人権課題と認識しています。
また、お客様・患者さん、地域住民・社会、サプライヤー・パートナーにおいても影響度を評価し、重要人権課題を特定しました。

特定された人権リスク

リスク低減に向けた施策

人権リスクの低減・緩和対策として、国内外グループ会社およびサプライヤーに対するモニタリングを継続し、計画的にリスク低減に取り組みます。
国内外グループ会社においては、重要人権課題に特定した「過剰・不当な労働時間」、「セクハラ、パワハラ、妊娠・育児・介護などに関するハラスメント」について、リスク低減に向けた取り組みを推進します。

リスク

施策

過剰・不当な労働時間

長時間労働や連続勤務などの過剰・不当な労働時間の削減に向けて、2023年1月から「フレックスタイム制度」や「テレワーク勤務制度」の本運用を開始し、柔軟な働き方を促進するとともに生産性向上に取り組んでいます。また、毎月の所定外労働時間を監視し、基準を超えた部署に対して注意喚起や指導を行うなど、必要な対策を継続的に実施し、長時間労働のリスクを低減します。

セクハラ、パワハラ、妊娠・育児・介護などに関するハラスメント

すべての役員・社員等を対象としたeラーニングによるハラスメント教育を実施するとともに、新任管理職全員を対象にハラスメント報告や相談の対処方法に関する研修を毎年実施しています。これらの研修を継続することで、ハラスメントのリスクを低減します。

アンケート調査によるモニタリング

日本光電では、人権リスクの低減・緩和対策として、国内外のグループ会社おびサプライヤーに対する調査・モニタリングを年1回行っています。
今後は、2022年度に特定した重要人権課題や各アンケート結果をもとに、リスクの高い国内外のグループ会社およびサプライヤーを特定します。また、現地監査やアンケート結果のフィードバックを行うとともに、是正計画の作成に向けて協業し、計画的にリスク低減に取り組みます。

人権の尊重に関する取り組み

日本光電グループ人権方針に従い、あらゆる差別やハラスメントの防止に取り組んでいます。2022年度において、懲戒免職に至る人権侵害・ハラスメントは発生していません。

体制

日本光電の人権に関する取り組みは、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会で内容を協議し、取締役会に付議・報告しています。また、経営戦略統括部と人事部が中心となり、社内に展開しています。

審議機関

サステナビリティ推進委員会

委員会で協議した人権に関する重要事項は、会議付議・決裁手続き基準に基づき、取締役会に付議・報告。

事務局

経営戦略統括部、人事部

相談窓口、通報制度の設置

日本光電では、ハラスメント相談窓口や内部通報制度を設置し、セクハラ、パワハラ、マタハラ、LGBTなど性的少数者、外国籍社員の労働問題をはじめとする様々な人権に関する相談を受け付けています。匿名でも相談・通報が可能であり、報告者が不利益を受けることがないよう相談者のプライバシーを厳守し、慎重に対応しています。また、受け付けた相談内容については、相談者を救済するため、相談者本人の同意のもとで事実関係の調査を行い、事実が確認できた場合は是正と職場環境改善に向けた注意喚起、再発防止に向けた教育を行うなどの救済措置を講じています。四半期に一度開催されるコンプライアンス委員会においても情報を共有し、対応策を協議しています。
また、 サプライチェーンにおける人権に関する相談を受け付けるため、お取引先様・お客様向けの人権相談窓口を2023年10月に設置しました。
お客様、お取引先様との取引において当社従業員等に法令・規則、日本光電グループ人権方針等に違反する行為がある場合、またはその疑いがある場合には、こちらの窓口をご活用ください。

社内啓発教育

日本光電では、すべての役員・社員等を対象に、ハラスメントの防止や労働関連法令の遵守を目的とした職場研修やeラーニングによる教育を実施し、人権リスクや人権方針についても理解浸透を図っています。
新任管理職向けの研修ではハラスメント防止に加え、ハラスメント通報・相談を受けた際の対応手順に関する講義の時間を設けるなど、人権侵害の防止に努めるほか、社内報を通じてLGBTなど性的少数者に対する理解を深めるなど、性自認および性的指向による差別の禁止にも取り組んでいます。
2022年度は、4,485名の役員・社員等が人権研修を受講しました。

社会的マイノリティへの配慮

日本光電では、LGBT(性的少数者)などの社会的マイノリティに対する差別をなくし、多様性を認める働きやすい職場環境の実現に取り組んでいきます。

サプライチェーン全体での取り組み

日本光電では、お取引先様を含めたサプライチェーン全体で人権の尊重に取り組んでいます。「日本光電調達方針」「日本光電サステナブル調達基準」を策定し、児童労働、強制労働を禁止しています。
「日本光電サステナブル調達基準」の遵守に向けて、お取引先様と相互にコミュニケーションを図るとともに、「人権」をはじめとする6項目、22問で構成される「サステナビリティアンケート」にすべてのお取引先様に3年ごとに回答していただくことで、「日本光電サステナブル調達基準」に関する認識と遵守状況を確認しています。また、アンケート調査で集まったご意見は、調達部門へフィードバックし、公正で責任ある調達の実現に向けて活用しています。

製品開発を通じた取り組み

日本光電では、誰でもAEDを使用して救命処置ができる環境づくりを目指して、聴覚障がい、難聴の方、母国語が日本語ではない方も使用いただけるAEDを開発しています。
聴覚障がい、難聴の方にも使用いただけるよう、イラスト・メッセージが表示されるカラー画面付きAEDは、一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会から「耳マーク」の承認を取得し、聾学校や聴覚支援学校等で機種指定いただくとともに自治体等に設置を進めています。
また、グローバル化が急速に進む日本において、日本語と英語の音声ガイドを交互に行うバイリンガルAEDの普及に努め、救命現場に居合わせた外国人の方もAEDを使用した救命処置ができる環境づくりを進めています。
AED-3100はオプションとして17言語~{※}に対応し、日本語と各国語で交互に音声ガイドを行います。英語を母国語としない外国人の方が多数雇用されている企業などで導入が進んでいます。

  • 対応言語:英語・中国語・韓国語・台湾語・デンマーク語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ブラジルポルトガル語・トルコ語・ロシア語・オランダ語・インドネシア語・ベトナム語・アラビア語・タイ語

礼拝室の設置

日本光電では多様な信仰を持つお客様と従業員のために、富岡生産センタに礼拝室と、礼拝前に足を洗う洗浄スペースを設置しています。
海外から見学に訪れるお客様に、大変好評をいただいています。