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今、動きはじめている夢

脳神経技術の
世界的スタンダードを
最先端アメリカから
広げる。
脳神経技術の
世界的
スタンダードを
最先端アメリカから
広げる。
日本光電は、医療機器メーカの中で脳神経領域が存在する唯一の企業。脳神経領域のメーカとしてもハードウェア、ソフトウェア両方の開発を行う会社は滅多になく、ハードウェアにより高品質な脳波を記録し、ソフトウェアで解析できることに強みを持っている。これまで培ってきた脳神経領域の知見を生かして、将来的にはより多くの領域におけるデジタルヘルスソリューション(DHS)構想*の推進を目指している。医療の最先端アメリカで、脳神経技術開発に携わる開発担当者田浦に聞いた。
* デジタルヘルスソリューション(DHS)構想:最新のデジタル技術を、健康の維持・管理、医療に活用し、その効率や効果を高めることを目的とした解決策を生み出す構想。

世界中どこにいても、
高水準の
医療を受けられる
ソフトウェアを開発する。

世界中どこにいても、
高水準の医療を
受けられる
ソフトウェアを
開発する。

2024年10月。田浦が向かったのは医療の最先端を走るアメリカ。日本やアジア、ヨーロッパをはじめ世界のどのような場所にいても同水準の医療サービスを受けられるように、医療現場のワークフローの効率化を図るソフトウェアを開発するためだ。訪れた場所は、世界中からあらゆる医療従事者が技術を学びに来る全米トップクラスの病院。アメリカからの要求は、どの国と比較してもいちばん厳しく実現が難しい。アメリカ基準で製品を開発し、各国で広めていければ、全世界の医療のスタンダードをつくり上げることができるのだ。

日本光電が掲げる「BEACON2030」では、日本光電がこれまで培ってきたHMI*技術や医療機器開発の知見に加え、データやデジタルテクノロジーを通した解析を行い、これまで以上に患者さん一人ひとりに寄り添った独自のソリューション創造を目指している。このビジョンのなかで「DHS構想」が大切な役割を担っている。患者さんの生体情報をデータ化し、新たな検査機器や治療機器の開発に活かせないかと発想しているのだ。

「今は、国内外のさまざまな会社を日本光電が取りまとめ、プロジェクトを進めている最中です。アメリカでは日本光電の技術部門を筆頭に、国内外の企業が持つ知識やリソースを組み合わせ、新しい製品の開発に取り組んでいます。」

* HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース): 人と機器との接点。当社の場合、センサ技術、信号処理技術、データ解析技術の総称。

病院の現状を理解する。
現場の今を、理想の姿に
近づけるために。

病院の現状を理解する。
現場の今を、
理想の姿に
近づけるために。

「少数の名医がいても、その診療を受けられる人の数は限られている。優れた医療機器をつくって、世界中の医師に使ってもらえば、自分が医師になるより何倍も多くの人びとの役に立つ。」日本光電が医療機器メーカとして立ち上がった創業の想いは、どのような医療機器を開発するときにも共通する目的だ。機器の導入で医療現場の課題を解決し、医療従事者が患者さんと対峙する時間を増やすことができれば、患者さんのより良い治療や退院後の生活にまで目を向けることができる。医療現場のワークフローを改善する製品の開発は、まさにそのど真ん中を狙いにいくプロジェクトだ。

「現場の課題を解決するために何よりも大事なのは、現場を知ること。時間が許す限り米国の病院を訪問し、医療従事者に今どのようなことに困っているかをヒアリングしたり、自らの目で確認したり、そこに対してハードウェアやソフトウェアを含めて製品をどう変えるべきか考えます。特に肝心なのが、患者さんを診るために、誰が、どういった手順で検査や判読をし、データをどのように扱うかということ。例えばカルテの手記など手作業も多く残るなか、機器によって自動化できないかという課題は頻繁に発生します。このプロジェクトが始まってから米国病院の現場を見て、生の声を聞いて、ありたい理想像を実現するための製品を開発すべく、試行錯誤してきました。」

技術の力で、
医療現場の医療資源を
最大限に引き出す。

技術の力で、
医療現場の
医療資源を最大限に
引き出す。

アメリカのプロジェクトに参加する前、脳波計の機器開発の企画から販売まで3年かけて携わったことがかなり印象的だったと田浦は語る。国内では2022年から販売を開始した「EEG-1260 NEXT」という医療機器だ。販売後、医療現場の方から「ワークフローが改善されて、業務が楽になった」という声をいただいたときは、「3年の挑戦が実った瞬間だった」と語る。

「EEG-1260-NEXTでは、医療従事者のワークフローを改善するための3つの開発を行いました。
1つ目は精度点検機能の自動化、2つ目は遠隔から行う脳波モニタリング及び操作の実現、3つ目はアーチファクト検出・通知による測定時の波形品質の向上とアーチファクト除去機能による再生時の判読のしやすさを改善したことです。
1つ目の精度点検機能は、従来アンプの精度を計測するには手間のかかる手技が必要で30~60分/回かけて行われるだけでなく、検査者自ら検査結果の合否を判断しなければなりませんでした。それが約3分の自動計測と自動で合否判定が可能となりました。
2つ目の遠隔から行う脳波モニタリング及び操作機能は、従来病棟や集中治療室(ICU)等の検査室以外で脳波測定を行う際には、脳波計を患者スペースまで移動して検査をする必要がありました。この機能により、脳波計を患者スペースまで移動させることなく離れた場所からでも脳波測定とモニタリングができるようなりました。
3つ目のアーチファクト通知・除去機能は、脳波測定中に発生するアーチファクト情報を操作者にお知らせし、その解決案を画面上に通知することで波形品質の高い脳波測定をサポートします。また、記録後の脳波波形に対してアーチファクト成分を除去し、脳波成分のみを再生することで脳波判読をサポートします。
前回の開発を通して、自部門、協力会社、企画・販売部門、品質管理部門、デザイン部門、許認可部門、オペレーションマニュアル作成部門、生産部門、保守部門など、ここでは書ききれないくらいたくさんの方の協力のもと、無事に販売まで実現させることができました。」

技術の進歩で、医療現場のヒューマンエラーをなくす。患者さんの負担をなるべく軽減できる装置をつくる。これは、2030年に向けて挑戦する新たな医療の世界観だ。機器開発の企画から販売まで携わった経験を活かし、世界中の医療現場を救う機器を開発するため、田浦は今まさにアメリカで学んでいる。

やれることは、
まだたくさんある。
日本光電の脳波計の魅力を
もっと高めたい。

やれることは、
まだたくさんある。
日本光電の
脳波計の魅力を
もっと高めたい。

人体は、さまざまな臓器や神経が関わり合っている。日本光電は脳神経領域を持つ唯一の医療機器メーカとして、ハードウェアとソフトウェアの両方の強みを生かして、この複雑な人体の全体像を見せることに取り組んでいる。

「患者さんの診断を行う上では、脳波だけでなくその他のバイタル情報など全てのデータが組み合わさることで、はじめて患者さんが置かれている状態を全体的に把握することができると考えています。脳神経データを含めたバイタルデータをどう利用するかが重要だと思っています。DHS構想の実現に向けて、お客様とその先にいる患者さんに提供できる価値をあげようとする取り組みに共感しているし、日本光電のビジョンにも、期待を寄せています。そのために、今進行しているプロジェクトで脳神経製品自体の魅力を高めて世界中で使ってもらえる製品を開発したい。最初に話した“高水準の医療を世界中に広めるために良い製品を作りたい”という想いは、変わりません。自分が考えた通りのものが出来上がり、世の中に出す時が一番やりがいのある瞬間ですし、それが会社の成長や医療現場への貢献につながるなら、とても嬉しいことです。」

医療の世界的スタンダードをつくる夢は、始まったばかりだ。

Profile

田浦 敏幸
2015年 新卒入社。大学では生体医工学を専攻し、脳や神経に関わる研究をしていた。入社後、脳波計ソフトウェアの開発を経て、現在はアメリカにて、脳神経領域の医療現場の業務改善のための機器開発に従事中。
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