Our People
医療課題に挑む先駆者たち

急性期の赤ちゃんを救える
医療機器開発を目指して。
急性期の
赤ちゃんを救える
医療機器開発を
目指して。

Profile

【技術(製品開発)】大橋 かるな
技術(製品開発)
大橋 かるな
2019年、新卒入社。大学では理学部物理学科に所属し、レーザー技術を用いたDNA検出の研究に取り組む。入社後はセンサの開発部門に配属され、成人用および新生児用血圧測定カフの開発に従事。新生児用カフでは、患者さんの皮膚に優しい素材選定や、正確な測定を実現するアルゴリズムとの連携を含む高品質な製品開発を推進。海外メーカと連携しながら、国際規格の品質を満たす新生児用カフ開発に勤しんでいる。
命への想いを、
医療機器として
形にする。

「人の命を救いたい」。そう考えるようになったきっかけは、友達のお母さんが亡くなってしまったことです。友達が悲しむ姿を見るのは、私にとってもショックでした。どうしたら、友達のお母さんを病気から守れたのだろう。その思いが、人の命を救う医療業界への興味の始まりです。大学時代に勉強していたのは、レーザーを使ってDNAを検出する研究です。今の仕事と直接関係があるわけではないのですが、入社後、医療機器の開発方針を立てる上で、大学で勉強した研究方針の立て方や考え方を活かせていると思います。
今は、健康診断の際などに、血圧測定で腕に巻きつける測定器(カフ)を開発しています。中でも重点的に取り組んでいるのは、赤ちゃんのためのカフ開発。カフを使う状態の赤ちゃんは、重篤な場合が多いんです。赤ちゃんに優しいカフを開発するため、選ぶ素材は何度も検討を重ねてきました。医師からいただく「赤ちゃんに優しいカフを開発したい」という想いに応える使命が、技術開発にはあると思っています。

安全性や品質に、妥協は許されない。
ひとつ一つの製品に、「命を守る使命」がある。
安全性や品質に、
妥協は許されない。
ひとつ一つの製品に、
「命を守る使命」がある。

開発で難しいのは、医療現場での「優しさ」と「正確さ」の両立。最も難しかったのは、品質試験の段階で実施する、経年劣化の模擬試験を満たせる材料選定です。製造から数年経過後の材料の状態を再現する試験では、材料がボロボロになったり硬くなったりして不合格になる候補が続出しました。医療現場では高い耐久性と正確な測定が求められるため、これらをクリアする材料を探し出すのは非常に困難。ただ、「命を守る」ための品質と性能には妥協が許されない。赤ちゃんに負担をかけず、精度を保ちながらコストを抑えるバランスは非常に難しい課題ですが、試験を繰り返しようやく製品化できた時の達成感は格別でした。新生児集中治療室(NICU)で使用する際には、使用の際の感染リスクを減らすことも重要で、清拭しやすいツルツルした材料を採用しました。また、以前のカフは面ファスナが剥がれやすいという課題があったため、耐久性を強化。実際に新しいカフを使った医療従事者から「剥がれにくくなりました」と評価をいただいたときは、自分が関わる意義を感じてとても嬉しかったですね。

英語の壁の向こう側に
見えた、患者さんと
医療現場への貢献。

開発において、もう一つの大きなポイントだったのは、開発元の海外メーカとのコミュニケーション。パフォーマンスとコストを両立させるため、海外メーカと取引を始めました。英語が苦手な私にとって、初めての海外とのやり取りは困難の連続。難しい言葉のニュアンスも視覚的に伝えられるように、図解を活用し丁寧に意思疎通を図りました。日本人同士だと、「察して動く」文化もあると思うのですが、特に担当の海外取引先では「やってはいけないこと」を明文化して的確に伝える必要があり、文化の違いを学ぶ貴重な経験となりました。さらに、医療機器の国際規格に対応するため、双方が理解しやすい資料を作成し、工夫しながら調整を重ねました。異文化の壁を乗り越え、患者さんと医療現場に貢献する製品を生み出すことなんて、入社当時には想像もしていなかった。国境をまたいだ仕事を通して、さらなる挑戦をしたい、と気持ちを前に導いてくれています。

赤ちゃんの小さな体を守る。
優しい測定と正確さを
両立させる技術への挑戦。
赤ちゃんの小さな体を
守る。優しい測定と
正確さを両立させる
技術への挑戦。

赤ちゃんから大人まで、老若男女すべての患者さんに優しく負担の少ない医療機器を提供するため、私は今後もカフ開発に取り組んでいきたいです。特に血圧測定では、圧迫を最小限に抑えつつ、精度の向上が求められています。優しいセンサ実現のためには、センサ単体ではなくアルゴリズムと組み合わせながら精度の高い医療機器開発ができたら嬉しいです。赤ちゃんは脈拍が小さいため、センサとアルゴリズムを繋げて患者さんの情報を正確にキャッチすることが必要です。センサの感度を高めつつ、従来から使用されているオシロメトリック法を用いたアルゴリズムをさらに改善していけば、より正確で負担の少ない測定が可能となりますが、まだまだ進化の余地があります。技術革新を進める中で、赤ちゃんから大人まで、老若男女すべての患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な医療を提供するために、これからも挑戦を続けていきたいです。学びながら、新たな医療機器を形にしていきます。

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