日本光電では、呼気CO_{2}の測定方式として従来からメインストリーム方式を採用してきました。
その理由は、一般的にメインストリーム方式の方が応答性・安定性に優れ、速い呼吸、流量が少ない呼吸にも対応できるからです。この特徴から、人工呼吸器を長期間用いるICU(長時間、安定した測定を求められる)や、心肺蘇生などを行う救急(応答性の速さが求められる)で使用されてきました。
しかし大きいセンサ部を口元に装着するため、酸素マスクを使って酸素供給を受けている患者さんには使用できず、気管挿管※している患者さんにしか使用できませんでした。
新生児については挿管チューブが細いこともあり、センサを取り付けるとチューブが折れ曲がってしまうという難点がありました。血液を採取して血液中のCO_{2}を測定する方法もありますが、頻繁な採血は小さな体にとって大きな負担となります。
※気管挿管:全身麻酔手術や集中治療室で人工呼吸器を使った呼吸のコントロールをする場合に、口から気管内にチューブを入れること。
そのような課題を解決するため「挿管していない患者さんにも使用できる/挿管チューブが細い新生児にも使用できる小型・軽量CO_{2}センサ」の開発がスタート。さまざまな壁を乗り越えてわずか4gという小型・軽量化に成功しました。
このCO_{2}センサにより、酸素マスク使用時など非挿管時のメインストリーム方式CO_{2}測定、新生児の呼気CO_{2}測定を実現しました。
またこのCO_{2}センサの小型・軽量化により酸素マスクを装着している患者さんのCO_{2}測定も実現可能となったことから、新たな酸素マスクの開発にも着手。酸素投与しながら呼気CO_{2}が測定できる画期的なマスクの製品化に成功しました。
この小さなCO_{2}センサは、患者さんの容体管理にさまざまなシーンで幅広く活用されています。