聴力測定方法の一例

(1)純音聴力検査

測定機器から音を出し、聞こえたらスイッチを押す検査です。
周波数ごとにどのくらいの音まで聞こえているのかを検査します。
ヘッドホンなどから音を出す気導検査や、音を骨に伝えて聞かせる骨導検査があります。

(2)語音聴力検査

テープなどに録音した一定の大きさの言語を聴き取る検査です。
どの程度の大きさの声で話せば聞き取れるのかを調べます。

(3)ティンパノメトリー

外耳道を密閉し圧を変化させた時の鼓膜の動きを測定して、中耳の状態を検査します。

(4)耳小骨筋反射検査

中耳にあるアブミ骨は大きな音が入ると抑制するように働きます。このことを利用して音が聞こえているか。また耳小骨の可動性があるかを検査します。

(5)耳音響放射(OAE)

音を聞かせて、内耳から反射して戻ってきた音を他覚的に検査します。
新生児の聴覚スクリーニング検査に使用します。

(6)聴性脳幹反応(ABR)

音を聞いた時の脳波を解析して、音が聞こえているかを他覚的に検査します。

新生児の聴覚スクリーニング検査

新生児聴覚スクリーニング検査とは、早期に難聴の有無を発見するために、赤ちゃんに行う聴覚検査です。
先天性難聴は1000人に1人か2人の確率で出現すると言われ、難聴のあることに気づかずにいますと、ことばの発達が遅れたり、コミュニケーションがとりにくいなどの支障が起きます。
早く見つけて適切な支援をすることによって、赤ちゃんの言語の発達を助けることができます。このためには、早期発見が必要ですが、通常の診察では判断することが困難なため、赤ちゃんの他覚的に検査が出来る専用のスクリーニング装置による検査が必要になります。

検査方法

新生児スクリーニング検査には現在、OAE(耳音響放射)と自動ABR(自動聴性脳幹反応)の2つの方法が使用されています。OAEは音に反応して内耳から返ってきた反響音を検査します。自動ABRは、小さい音をイヤホンから聞かせて脳からの電気的反応を皮膚表面の電極にて検出します。どちらの検査も痛みやかゆみなどもなく、検査による負担は全くありません。

検査時期

出生後入院中の検査をおすすめします。
検査は赤ちゃんが眠っていれば、数分から10分以内で終わります。成長するにつれて、目を覚ましやすくなり、検査が難しくなります。

小児・乳児の聴覚スクリーニング検査

オージオメータにて検査不可能な小児・乳幼児のオージオグラムを作成することが出来ます。
今日、先天性聴覚障害の早期発見・早期療育の効果と重要性が認識され、全国的に新生児聴覚スクリーニングの実施率が高まっています。新生児聴覚スクリーニングの拡大により聴覚障害の早期発見が行われる様になり、聴覚スクリーニング後の精密検査の実施も早期に行われるケースが増大しています。

聴性定性反応とは

従来精密検査では主に聴性脳幹反応検査(ABR)を行っています。しかし、ABRは主にクリック音を使用するため、高音域(2~8kHz)の聴力を反映し、低音域の聴力判定ができません。また周波数毎の聴力を判定する事ができません。そのため乳幼児の補聴器装用に必要なオージオグラムを客観的にかつ正確に作成する手段として期待されているのが、聴性定常反応ASSR(Auditory Steady-State Response)です。

測定方法

検査は睡眠導入剤などを使用し睡眠時に行います。イヤホンなどから数種類の周波数の音を合成した音を聞かせ、その際の脳波を測定します。脳波から周波数毎の聴力を分析しますので、乳幼児や小児の聴力検査に適しています。