日本光電はこの度、患者さんの病態を知る上で重要な検査結果を迅速かつ高精度で提供することをコンセプトに開発した全自動血球計数・赤血球沈降速度測定装置 MEK-1305 セルタックα+を海外市場で発売しました。MEK-1305は、白血球3分類~{※1}を含む血液20項目(CBC)~{※2}と赤血球沈降速度(ESR)~{※3}を同時に測定できる世界初の製品です。
赤血球が沈む速さであるESRは、海外、主に新興国でリウマチなどの炎症や結核などの感染症のスクリーニング、経過観察で測定されています。従来のESR測定方式では、検査に30分~1時間程度かかりますが、MEK-1305では、2分という短時間でのESRとCBCの同時測定を実現しました。採血後すぐに検査結果を確認できるため、臨床現場における疾患状態の的確な判断、診療方針の決定に貢献できると期待しています。
本製品は、主に海外の臨床検査室を中心に、CBC測定のみの全自動血球計数器 MEK-1300シリーズ セルタックα(MEK-1301/1302)と合わせて3年間で2,000台以上の販売を見込んでいます。なお、国内での発売はプレスリリース時点で未定です。

本製品の主な特長は次のとおりです。
1. 1本の採血管(EDTA 2K~{※4}入り)でCBCとESRの迅速同時測定を実現
1回の吸引でCBCとESRの同時測定を1検体あたり約2分で実現。CBCとESRの同時測定ができるため、検査業務の効率化や疾患状態の的確な判断、治療方針決定への貢献を期待。1本の採血管で測定できることから、患者負担も軽減。

2. 日本光電独自のESR測定技術CiRHEX TechnologyTMを搭載
CBC測定で得られたヘマトクリット(HCT)および平均赤血球容積(MCV)の値と、ESR測定部で得られたシレクトグラム~{※5}を元に、ESR値(1時間値)を算出するため、追加の試薬等は不要。基準参照法であるウェスターグレン法~{※6}と高い相関を実現。

3. 上位機種に搭載のDynaHelix Flow TechnologyTMを搭載
上位機種である全自動血球計数器 MEK-9100 セルタックGから新たに採用した日本光電独自の血球計測技術“DynaHelix Flow Technology”を搭載。測定誤差の要因となる細胞のリエントリなどを抑制するための液体旋回処理技術を活用し、特に血小板(PLT)の再現性が向上(当社従来比)。

4. 研究項目の搭載による臨床価値の向上
研究項目として、サラセミア~{※7}のスクリーニングで注目されているMentzer Index~{※8}やRDWI~{※9}、炎症関連の指標であるNLR~{※10}を搭載。

<主な製品仕様>

測定項目 WBC、LY%、MO%、GR%、LY#、MO#、GR#、RBC、HGB、HCT、MCV、MCH、MCHC、RDW-CV、RDW-SD、PLT、PCT、MPV、PDW、P-LCR、P-LCC、ESR
研究項目 Mentzer Index、RDWI、ESR HCT Corr.、ESR TEMP Corr.、SA、AMP、AI、MIN、t1/2、NLR
測定時間 (サンプル吸引から結果表示まで)CBC:1分以内、CBC+ESR:2分以内
必要検体量 CBC:20μL、CBC+ESR:80μL
表示可能範囲 ESR:0-200mm
寸法・質量 幅230mm×高さ428mm×奥行450mm(突起部含まず、約21kg)

<用語説明>

  1. 白血球3分類
    一般的に白血球の役割は生体の防御機能で、白血球はその役割などによって、リンパ球、単球、顆粒球の3種類に分類。病院の検査では、顆粒球をさらに好中球、好酸球、好塩基球に分類した検査も実施。
     
  2. CBC(Complete Blood Count:全血球計算値)
    外来初診時などで、血液疾患の診断や経過観察、貧血、感染症、出血などが疑われる場合に実施される基本的なスクリーニング検査。抹消血液一般検査とも言われ、白血球や赤血球、血小板といった血液の有形成分の数や大きさなどを確認し、体の状態を把握。
     
  3. ESR(Erythrocyte Sedimentation Rate:赤血球沈降速度)
    古くから用いられてきた炎症マーカの一つ。初診時のスクリーニング検査、慢性炎症疾患の診断などに利用。急性感染症、慢性感染症(結核等)、慢性炎症性疾患(リウマチ、膠原病等)で沈降速度が亢進。
     
  4. EDTA 2K(EDTA二カリウム塩)
    CBC等で用いられる検体中のカルシウムイオンを除去する抗凝固剤。
     
  5. シレクトグラム
    赤血球の連銭・凝集反応が始まった後に経時的に変化する、血液を透過する光の強度を表す波形。
     
  6. ウェスターグレン(Westergren)法
    抗凝固添加静脈血をガラス管・プラスチック管に入れて垂直に立てて、赤血球が沈む速さを測定する検査方法。一定時間(通常1時間)の沈降でできた上清の血漿の長さを測定。
     
  7. サラセミア
    溶血性貧血をきたす遺伝性疾患。グロビンのα鎖異常によるαサラセミア、β鎖異常によるβサラセミアがある。
     
  8. Mentzer Index
    βサラセミアと鉄欠乏貧血の診断で参考にする指標。平均赤血球容積を全赤血球数で除算して算出。
     
  9. RDWI(Red cell volume Distribution Width Index:赤血球容積分布幅)
    βサラセミアと鉄欠乏貧血の診断で参考にする指標。平均赤血球容積と赤血球分布幅、全赤血球数を用いて算出。
     
  10. NLR(Neutrophil to Lymphocyte Ratio:好中球/リンパ球比)
    炎症マーカの一つ。新型コロナウイルス感染症の重症化予測にも活用。
     

<製品写真>

全自動血球計数・赤血球沈降速度測定装置 MEK-1305 セルタックα+
(一部海外市場のみ発売、国内未発売)

 

お問合せ先: 事業戦略本部 IVD企画部
TEL 03-5996-8068

 

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