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ホーム > VNS 患者さま体験談 > 東京都在住 R.M.さん 体験談(掲載日:2016年9月6日)

一般の皆さまへ

VNS療法を受けてから、娘の第二の人生が始まった。
今より少しでも発作を軽減する方法があるなら、ぜひトライしてと伝えたい。

イラスト母 プロフィール
東京都在住 R.M.さん。てんかんを持つ21歳の女性のお母さん。2016年4月頃にVNSの治療を受けられました。
てんかんと診断されてから、治療と訓練に向き合いながら悩んだ日々
娘は、生後5日目の検査で心臓横紋筋腫という腫瘍があることが分かり、生後5カ月半のとき、てんかん発症とともに結節性硬化症という難病の告知を受けました。
発作が止まらず生後7カ月でACTH療法を行い、一時的に発作が止まったのを機に再び抗てんかん薬での治療に切り替えました。

しかし、点頭てんかんの発作が頻発するようになり、1日3回の投薬による副作用も影響し、娘は体力も気力も奪われ、ほとんど寝かされているような状態でした。
起きていても、夢の中で生きているかのように無表情でした。

3歳9カ月のとき、入院してケトン食療法に取り組み、自宅でも9カ月間試みましたが、発作は一向に治まらず、一時中断することにしました。

以来、幼少期は幼稚園に通う体力すらなく、検査入院と通院が主だったことから、このままでは娘は社会生活を送れないのではないか、という焦りや不安が常にありました。この子の居場所を見つけてやりたいという思いと、私自身も地域で同じように障害に向き合いながら子育てしている母親同士で情報交換できる場が欲しいとの思いから、地域の福祉会館、心臓病の子どもの集いや療育センターでの訓練に通う毎日を過ごしました。

しかし、娘のてんかんは難治性のため、なかなか発作は良くならず、医師も手探りの状態で薬の量は増すばかりでした。その副作用で、意識は朦朧とし視線はあわず、名前を呼んでも反応がなく、笑顔まで消えていきました。

「無反応で全く変化をみせない娘を連れて訓練に通う意味はあるのだろうか」と、内心くすぶる思いを抱えながらも、その頃の私は、ただ必死に休むことなく訓練に通い続けることしか、前に進む手立てはないのだと自らに言い聞かせる日々でした。
いま思い返せば、その訓練期間は、娘のためにというよりは、むしろ私が心のリハビリを受けていたように思います。

娘自身が、本来の訓練をなんとか受けられるようになったのは、体力がつき始めてきた5歳半くらいからでした。

娘のてんかんは、レノックス・ガストー症候群です。小学校から高校までは特別支援学校に通いましたが、その頃の発作は、脱力発作、強直発作、欠神発作、全身痙攣発作があり、また発作による転倒で怪我をすることもありました。顔を何針も縫い、さらに前歯を強打して欠損するので、同じ歯を6回も処置する始末でした。

娘の場合、発作が起こりやすい条件は、季節の変わり目や気圧の変化をはじめ数多くあります。そのため私は、いつ起こるともしれないてんかん発作に備えて娘から目が離せず、常に顔色や表情の変化に注意を払い、夜中も神経を研ぎ澄ませていました。過剰なほど神経をすり減らし、気が休まる暇がなかったことが、一番の悩みだったと思います。
迷走神経刺激療法(VNS)を受けようと決めた理由
初めてVNSのことを知ったとき、全く抵抗感はありませんでした。むしろ、すごい手術があるんだなと思い、その医療の発展の恩恵を受けるにはどうしたらいいのか、どこで受けられるのかと、すぐ医師に相談したくらいでした。
現状よりも娘のてんかん発作を軽減できるならば、どんなことにでもトライしてみようと思ったからです。

そして、最終的に2つの理由からこの治療を受ける決断をしました。

1つ目の理由は、現在1日3回、9種類の薬を服用していますが、これ以上、薬を増やすのは限界だと感じており、また、ここ数年で大きな震災が起きている状況から、これだけの薬を確保するのが困難な事態も今後ありうるのではないか、と不安に感じたことでした。もう1つは、何より本人が発作で辛く苦しい思いをしている状況に対して、少しでも手立てがあるのだとしたら、まずは試してみて、もしもそれがあまり効果がなかったとしても、その時にまた止めるかどうか判断すればいいと考えたからでした。
迷走神経刺激療法(VNS)の効果と副作用
約20年間、ほぼ毎日何回も起きていた発作が、術後11日間は一度も起こりませんでした。
さらに、手術から3カ月半が経過した現在でも、合計で20数回しか発作は起こっていません。
また術前は、1回の発作時間が長いときで1〜2分ほど続き、その間は無呼吸状態のようになり、血の気が引いて顔面蒼白となっていました。そして発作から完全に回復するまで、15〜30分くらいは静観が必要でした。
術後は、発作が起きても30秒ほどで治まり、意識も戻りやすく、疲れて眠ってしまうということがなくなりました。

そして、驚くほどに意識レベルが上がりました。

見たい、動きたい、やってみたい、と意欲的になり、行動的にもなりました。以前は、相手のなすがまま、言うことを受け入れていましたが、今では、意思表示が明確になり、例えば、好物が出ると人差し指で指し示すといったことができるようになりました。
反対に、自分の意に反することは嫌なようで言うことをきかなくなり、21歳にして、かなり遅ればせながらの反抗期のようです。

術後の変化としてもうひとつ、キャーキャー大声を出すことが多くなりました。喉のあたりに違和感を感じるためかもしれませんが、慣れてくるまでの症状かな?と思い、見守っています。
同じようにてんかんと向き合っている方へのメッセージ
私個人の考えですが、今より少しでも、たとえ 1%でも、発作を軽減できる可能性のある方法がありましたら、ぜひともトライしてみてください、と申し上げたいです。
お陰さまで、娘はVNS療法を受けてから第二の人生が始まりました。
そして、常時見守りが必要で手を離せなかった娘から、私も少し解放された気持ちがしています。
まだ術後期間が短く慣れていないため、完全に手が離れたとは言えませんが、気の持ちようが半分は軽くなりました。

娘は、重度の知的障害があり言葉は話せません。でも、瞳に力が増し、笑顔満開の娘を見ていると、「お母さん、私、発作が少なくなって、元気になって、これからもっともっとやりたいことがあるよ。ありがとう…」と言ってくれている気がします。

もしもVNSについて迷われていましたら、1日も早く決断されることをぜひお勧めしたいです。子どもの体にメスを入れるという事実に躊躇される方もいらっしゃるかもしれませんが、術後3カ月半が経過し、首筋と脇の手術痕はすでに薄らいで気にならなくなってきています。

何よりVNS療法に踏み切って良かったことは、娘の笑顔が増えたことです。
最高の親孝行をしてもらっていると思います。

※ 効果の程度には個人差があります。また、記載の事例は必ずしもすべての方にあてはまるというものではありません。 詳しくは主治医の先生にご相談ください。

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