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ホーム > VNS 患者さま体験談 > 東京都在住 B.S.さん 体験談(掲載日:2017年3月9日)

一般の皆さまへ

術後、目に見えて安定した娘。
少しでも苦しみや負担が軽くなるのであれば、治療を受ける意義はある。

イラスト父 プロフィール>
東京在住 B.S.さん。てんかんを持つ21歳女性のお父さん。2012年10月頃にVNSの治療を受けられました。
 “てんかん”と診断されてから、外科治療の検討まで

現在21歳の娘は16歳のときに迷走神経刺激装置(VNS)植込み術を行いました(以下 VNSと呼ぶ)。

娘は小学3年生のころに軽度の知的障害があると診断されました。
この頃は目に見える発作はなかったため、てんかんを疑うこともありませんでした。感情に不安定なところがありましたが、 もともと怒りっぽい性格なのだと思い込んでいました。しかし中学生になるころにはちょっとしたことでもすぐにキレてしまうようになり、家庭内は大揺れでした。
てんかんだと分かった今になって考えると、当時も娘の頭の中ではてんかん波が発生して砂嵐が吹き荒れているような状態だったのだろうと思います。

てんかんであると診断を受けたのは、中学3年生のときでした。
その日娘は、学校の体育館で合唱コンクールの練習中に段差の上から突然卒倒しました。学校の説明によると、頭部を床に強打し、意識がなく涎を垂らした状態でしたが、しばらくすると意識が回復したので救急車は手配しなかったとのことでした。
その晩は早々に床に就いた娘でしたが、夜中に再び大発作を起こし、全身硬直、失禁もあり、慌てて救急通報をしました。
搬送先の病院で脳波検査をしたところ“てんかんの疑い濃厚”との診断でした。
私はそれまで「てんかん」というものを言葉で聞いたことはあっても、どういう病気なのか全く知りませんでした。検査入院ののち、抗てんかん薬を処方され、以降、薬を服用し続ける生活が始まったのです。

しかし、高校生になるころにはてんかん発作は日増しに強くなり、通学途中に倒れて救急搬送されることが何度もありました。
また、駅のベンチに座ってビニール袋に入った菓子パンをぐちゃぐちゃに握りつぶしそのまま倒れてしまったり、家での食事中に焼き魚を素手で握りつぶしたり、熱いみそ汁に手を突っ込んでかき回し始めたり、手もみをしたりなど、意識が混濁した状態での異常行動を頻発するようになり、本人のイライラによる怒りっぽさもピークに達していました。

このような日々が続き夫婦とも疲れきっていたところ、たまたま読んだ新聞記事で「てんかんの外科的治療法」があることを知りました。一縷の望みをかけて、大学病院のてんかん外来を受診しました。脳神経外科のてんかん専門医による脳波検査の結果、相当重度なてんかんであること、外科的治療は有効であろうが、焦点部位を特定するために開頭して電極シートを留置し、一昼夜観察する必要があるとのことでした。
その検査を受けた結果、てんかん波は左右の側頭葉全体に広がっていることがわかりました。そして手術で焦点切除をしても完全には発作を抑え込めないかもしれないが、しないよりはした方がはるかに改善するだろうとのことで、11時間におよぶ切除手術を受けることに決めました。
先生からはこのときに「もし術後に発作が残っている場合は、VNS治療の併用を検討したほうがいい」とVNSの説明を受けました。

外科治療の効果:焦点切除術+VNSの併用

開頭手術の甲斐あって、倒れることがなくなり、またあれだけひどかったイライラが随分緩和されたので、劇的な改善だと感じました。ただ、やはり術前の見立て通り発作が残っていたので、数カ月後にVNS植込み術に踏み切りました。

VNS植込み後は、ごく弱い刺激(0.25mA )からスタートし、そこから段階的に刺激の強さを上げていくとともに、数種類の抗てんかん薬も服用しています。短い発作は今でもまだありますが、手術前とは比べ物にならないほど安定しました。
先生からは発作が起きそうに感じたら植え込まれたVNS(パルスジェネレータ)にマグネットを当てて一段階強い刺激を送ることができるという指導がありましたが、娘の場合は知的障害もあり、自分で発作の起きるタイミングを感じ取るのは難しいようでした。

VNSの電池寿命が来たら、VNS治療継続のため電池交換術を実施する予定です。患者家族の希望としては、交換手術を何度も行わなくて済むような機器の改良を願うばかりです。

同じようにてんかんと向き合っている方へのメッセージ

親の率直な所感としては、抗てんかん薬も調整しているので、VNS単体での効果がどれだけあるのかは不明です。ただ、開頭手術だけの頃に比べて発作の症状が緩和されたのは事実です。
開頭手術をせずにVNSだけで発作を抑え込める患者さんも大勢いるでしょうし、娘のような重度の患者さんもいるので、VNSの効果は患者さんによって多様であろうと感じます。

もし、薬の効かない難治性てんかんの患者さんであれば、VNS治療を受けてみることは有意義であると思います。開頭手術のような大がかりで勇気のいる手術ではありませんし、VNS手術後の胸部の手術痕もほとんど気になりません。てんかんで苦しむ患者さん、ご家族の負担が少しでも減るのであれば、十分に検討すべき治療であると感じます。

 
※ 効果の程度は個人差があります。 詳しくは主治医の先生にご相談ください。

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