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ホーム > 人工内耳 装用者の体験談 > 埼玉県在住 D.U.君お母さん 体験談(掲載日:2016年6月28日)

一般の皆さまへ

知りたいのに聞けず、情報もなくとても不安で孤独でした。
スタートしたばかりの人工内耳ですが、息子とともに頑張りたいと思います。

プロフィール          
埼玉県在住 D.U.君。1歳の時に難聴と診断され、補聴器の装用を開始。その後4歳6カ月で人工内耳の手術を受けた5歳の男の子です(2016年6月現在)。
 難聴の発見から、人工内耳手術への決意
息子は新生児聴覚スクリーニングを受けず、難聴の発見が遅れてしまいました。簡単な検査でタイミングよく振り返ることも多かったことや、3カ月検診でも「大丈夫」と言われ安心していました。その後お友達が少しずつ単語を話すようになっても、息子が話し始めることはなく、病院を受診したところ難聴が発覚しました。診断当初は左80dB、右80dBの高度難聴でした。難聴発見後、1歳4カ月で補聴器を装用し、その後すぐに重度難聴となりました。

補聴器装用後は、不明瞭ながら少しずつ単語が言えるようになっていきました。周りのお友達は1~2歳で人工内耳の手術を終え、3~4歳で手術をした子はいませんでした。3~4歳で人工内耳の手術をした子の1年後、2年後の姿は、インターネットにも、本にも、どこにも情報がなく、参考になる人も身近にはいませんでした。知りたいのに聞けず、同じような人の情報も得られず、とても不安で孤独でした。その間、息子の聴力は落ちたり回復したりで安定しませんでした。そんな中、もし右耳よりも幾らか聞こえている左耳の聴力がもう1度落ちたら、人工内耳の手術をしようと考えました。補聴器の装用効果もみられたことから、他の病院でもう少し様子を見ましょうと言われたこともありました。しかしそれから約1年後、聴力が再び落ちたのを機に都内の病院を受診しました。担当の先生はにこやかな笑顔で出迎えてくれました。先生のその雰囲気で一気に緊張がとけ、「手術をしたい」そう思うことができました。両耳の聴力が完全にスケールアウトし、4歳6カ月での手術が決まったのです。
 人工内耳の手術と音入れ
人工内耳手術での入院は、息子にとっては初めての一人でのお泊りでした。息子に伝わる数少ない言葉と手話で、人工内耳にすること、一人で寝ること、今よりもっと聞こえるようになるかもしれないことを何回も何回も伝え続けました。息子が初めて病院で泣いたのは、4時間の手術を終え、パパ、ママを見た時でした。きっととても怖かったのに、誰にも伝えることが出来ず一度も泣かずに我慢していたのだなと思うと、頑張ったね、ありがとう、ごめんねの気持ちでいっぱいでした。

手術後10日目に人工内耳の音入れを行いました。インターネットやテレビ等でみられるような初めて聞く音に感動する、驚いて泣くなんてことはなく呆気なく終わったという印象です。親にとっては拍子抜けの瞬間でした。2回目のマッピングから反応がぐんと変わりました。帰り道、道を挟んだ救急車のサイレン音に振り向き、車のクラクションの音にキョロキョロしていました。3回目のマッピングでは口元を隠して小さい声で名前を呼んでも反応しました。
 人工内耳手術後の変化
息子は母音の『い』『う』がつく音が苦手で全て鼻にかかってしまっていました。「いい~?」と聞く言葉も「んん~?」、「あし」は「あん」となっていたのです。何度も口の形を見せて教えてきた4年半。決して直ることがなかったのに人工内耳の手術をしてたった2カ月半で単発なら「い」「う」の発音ができるようになりました。気にして発音させれば「いい~?」も「あし」もそれらしくきちんと口から息を吐きながら音が出せるのです。小さな声で耳元でコソコソと話せるようにもなりました。これは今まで聞こえていなかった「自分の声」が聞こえ、小さな声でお話できることを知ったからだと思います。

人工内耳をして初めてお風呂に入った際*1は息子は「あ!聞こえた」という、喜びとも驚きとも感動とも捉えられるそんな表情であふれかえっていました。「補聴器は水は駄目」そう教えられてきた息子は壊れないのか少し不安そうではありましたが、「大丈夫、こわれないよ。」と伝えると口をあんぐり開け、目を見開いて「うん!」と大きくうなずき、何とも嬉しそうな表情でした。水の音は「ジャー、ジャー」そう一声で教えられるものではありません。息子はきっと初めての水にも色々な種類の音があることを知ったと思います。
人工内耳を考えている方へのメッセージ
 「どうせやるならもっと早くすればよかった」なんて私は思っていません。補聴器で少しでも音を聞いて色々なことをほんの少しでも覚えてきた積み重ねがあったからこその補聴器から人工内耳へとスムーズに移行出来たのだと思います。その4年半があっての今なのです。私は同じ仲間がおらず、とても不安でした。だからこそ私の経験と息子の症例が少しでも悩んでいる人の目や耳にとまり、ほんの少し先の未来を見せてあげられたらいいなと思います。

まだまだスタートしたばかりの人工内耳ですが、一進一退、息子とともに頑張りたいと思います。

*1 全ての人工内耳の機種が水中での使用が可能ではありません。水中での使用の際は対応した機種をご使用下さい。

*2 人工内耳には適応基準が設けられています。またその効果には個人差があります。 本資料は効果について保証するものではなく、個人またはご家族の体験談です。詳しくは主治医の先生にご相談ください。

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